抗体医薬の適応がないと判断された方への支援 – 東京都健康長寿医療センター 認知症支援推進センター

診断後支援ガイド

抗体医薬の適応がないと判断された方への支援

落胆した気持ちをケアしながら「これから」を支える

抗体医薬に期待を寄せ、適応がないと判断されることで、大きな治療機会を逸したと感じる場合があります。
強い失望や孤立感が生まれやすい時期です。
気持ちの整理には時間が必要であり、伴走する姿勢が求められます。

この時期に大切なこと

  1. 「適応がない」という
    言葉に大きな衝撃を
    受ける可能性を理解する

  2. 自尊感情の
    傷つきに
    配慮する

  3. 結果の受容には
    時間が必要な
    場合もある

  4. 患者さんとご家族の
    気持ちの揺れに伴走し、
    他の選択肢を整理する

情報的支援

つながる先や接点を残す

とくに軽度認知障害の方が抗体医薬の適応がないと判断された場合、つながる先を見失ってしまうことがあります。
院内で運営している疾患講座や、患者さんやご家族等の集まりなどはありますか? あるいは、地域にご紹介できそうな集いの場や居場所などはありますか?
そういった活動に関心をもつことが難しそうでも、数か月後の再診予約を取るなど、 つながる先をつくったり、接点を残す工夫を意識します。

受容のための支援が必要なことも

なぜ適応がないと判断されたのか、知識によって理解することで前を向こうとする方もいらっしゃいます。抗体医薬について改めて学びたいという方には、講座等をご紹介したり、パンフレットや信頼できる情報源を紹介します。
現状を受け入れ、納得し、また歩き出すための学びを支援しましょう。

聞かれないのは困っていないからではない

医師には質問しづらくても、ソーシャルワーカーや心理職に相談したいという方が少なくありません。「質問がない=困っていない」とは限りません。話しやすい相手が見つけられるよう、多職種での関わりを続けます。

心理的支援

受容過程への伴走

「医師から勧められたのに、適応がないと判断された」という事態に、強い失望を感じることがあります。
結果を受け入れる過程にあることを理解し、必要な時間をかけて心の整理ができるよう、伴走します。

自尊心の傷つきに

適応とならなかったことで、「自分は見放された」「治療を受けている人がうらやましい」という思いを抱く方もいます。
その感情を否定せず、「今はそう感じるのも自然なこと」とまずは受けとめる姿勢が大切です。

抗体医薬のほかにできること

抗体医薬の適応がないと判断された方が、次の目標に目を向けられるようになる支援をします。「自分にできること・やりたいこと」「生活の中で取り組めること」を見つけられるでしょうか。
前を向いて歩いていくための、小さな目標づくりを一緒にします。

支援のポイント

落胆や孤立感が強まりやすい時期

気持ちの整理を急がせず、ゆっくり、一緒に回復していく姿勢を大切にします。
抗体医薬の適応があってもなくても、支援ニーズがあることを明確に意識します。非適応の判断は、治療の終わりではなく、その人の生活支援・心理支援の始まりです。
「希望をもつこと」と「現実を受け入れること」の間には時間が必要です。すぐに気持ちの整理を促すのではなく、伴走しながら、回復のペースを見守る支援を行いましょう。
医師・心理職・ソーシャルワーカーが連携し、「話せる場を残す」ことがもっとも大切です。「またいつでもどうぞ」と伝えるだけでも、安心とつながりを保つ力になることがあります。