診断後支援ガイド
はじめに
認知症の抗体医薬による医療(DMT)が始まり、医療・介護の現場では、これまでにない変化が生まれています。治療を受ける人、受けない人、受けられなかった人――。どの立場にある方にも、「情報を知りたい」「気持ちを整理したい」「これからを考えたい」という支援ニーズが存在します。
「支援ニーズ」は、人間が普遍的にもつものです。「支援する人」「支援される人」に分断されることなく、人が互いの人生に関わるなかで、より多く知識をもっている人が、知っていることを共有する、より多く経験を多く持っている人が、経験から学んだことを共有する、そのような「人と人との当たり前の関係」を築くヒントとして、本ガイドを作成しました。
このガイドでは、治療の各段階で、患者さんやご家族がどのような気持ちを抱え、専門職にどのようなことを求めているのか、「情報的支援」「心理的支援」「支援のポイント」の3つの視点から整理しました。
みなさまが出会う一人ひとりの思いを大切にしながら、「切れ目のない支援」を実現するために、現場での対話や医療連携のヒントとしてご活用ください。
このガイドは、患者さん、ご家族、全国の医療機関の医師、看護師、公認心理師、精神保健福祉士、家族会、地域の関連機関の職員等、計48人の方を対象としたインタビュー調査のデータを分析し、東京都から委託を受けて、東京都健康長寿医療センター認知症支援推進センターで作成したものです。インタビューにご協力くださったみなさまに、心より感謝申し上げます。
おわりに
2023年12月に、わが国でも認知症抗体医薬による医療(DMT)が始まりました。
ですが、DMTが認知症ケアの課題をすべて解決したわけではありません。むしろDMTは、認知症医療がこれまで内包してきたさまざまな課題を、より鮮明に浮かび上がらせています。
このガイドは、DMTの導入によって見えやすくなった支援ニーズを、みなさんとともに振り返り、これからの認知症医療のあり方を考えるための一助になることを目指して作成しました。
私たち専門職は、治療と同じくらいに、そしてときにそれ以上に、人と人とのつながりを支え、安心して今日も、明日も、その次の日も、前を向いて歩み続けられる環境を整えることを大切にしていきます。