初診から治療方針の決定まで – 東京都健康長寿医療センター 認知症支援推進センター

診断後支援ガイド

初診から治療方針の決定まで

納得できる治療の選択を支えます。

治療の効果と限界、副作用のリスク、通院にかかる身体的、心理的負担、医療費など、複数の要素を整理しながら、治療を選択する時期です。
診断を受けることそのものが、すでに大きな決断です。不安や迷いが生じることは自然なことであり、丁寧な説明と対話が求められます。

この時期に大切なこと

  1. 決めることと向き合う、
    緊張と戸惑いが大きい
    時期であることを理解する

  2. 情報量に圧倒されないよう
    段階を踏みながら一緒に
    考える姿勢を大切にする

  3. 患者さんとご家族の
    気持ちの「温度差」を
    理解しながら進める

  4. 「今、この人にとっての
    ベスト」を一緒に考える

情報的支援

理解と判断という課題

「専門的な情報を理解」し、「自分に当てはめて判断する」という、大きな課題があります。説明は、患者さんとご家族の理解のペースに合わせ、必要に応じて複数回、伝えます。

副作用の説明は生活イメージに沿って

副作用については、専門用語で説明すると、理解が難しかったり、過度に不安が強まることがあります。「どれくらい起こりやすいか」「起きた場合どう対応するか」など、生活のイメージに沿った説明が安心につながります。

医療費や通院にかかる負担など、日常生活に関わる情報は、遠慮なく尋ねられるような雰囲気づくりが大切です。

治療が難しい場合には

検査を進める過程で、抗体医薬の適応がないという判断になる可能性もあります。「抗体医薬による治療が難しい場合にも、他の支援や選択肢につなぐことができます」といった、情報提供と心理的配慮を同時に行います。

情報的支援の工夫

書面を用意しておいたり、患者さんに応じたメモを作成し、家に帰ってから振り返るための工夫も、情報的支援に含まれます。

心理的支援

期待と不安が強まる

初診から治療方針を決めるまでの時期は、期待と不安がさらに強まりやすい段階です。「治療したい」という思いと、「大丈夫だろうか」「本当に治療が必要なのか」という迷いや不安の間で、気持ちが揺れ動きます。

立場や背景の違いを理解する

患者さんとご家族の間で、治療に対する期待や理解が異なることがあります。それぞれの立場・背景を理解することが支援の第一歩です。

結論を急がない

多くの方にとって、診断を受けるという決断そのものが、すでに大きな選択です。治療の選択について、結論を急がせず、迷ったり、ご家族と相談する時間をとることができる環境を提供することが大切です。

ご家族の不安にも配慮

葛藤しているのは、患者さんだけではありません。ご家族も、「本人の思いを大切にしたい」一方で「治療機会を大切にしたい」という葛藤、通院付き添いとご自身の生活の両立の不安などを抱え、気持ちが揺れることがあります。

「ご家族次第です」という言葉が大きなプレッシャーになっていることがあります。患者さんはもちろんですが、ご家族の不安にも目を向け、対話の時間を確保します。

支援のポイント

決断する時期

患者さん・ご家族ともに、決断の場面に向き合う時期です。「理解できていないように見える」場合も、情報量に圧倒されているだけかもしれません。

ともに考えていく

説明は、段階を踏んで、繰り返し、丁寧に進めます。「正しく理解させる」よりも、「一緒に考える対話」を意識します。理解も大切ですが、安心して決められたのかどうかも、同じくらい大切です。

言葉にするための支援

「一緒に考えていきましょう」という姿勢を示します。初めて経験する事態を前にして、考えをまとめたり、感情を言葉にすることが難しくなることがあります。言語化するために、専門家の助けが必要なことがあります。

合意形成を支える

患者さん・ご家族の間に温度差がある場合は調整役が必要です。どちらか一方を説得するのではなく、双方の思いを可視化し、整理し、合意形成のプロセスを支えることが、私たちの役割です。

適応外となった場合には

抗体医薬による治療の適応外となる可能性もあります。「抗体医薬の適応があってもなくても、支援は続く」ことを最初から示し、先行きが見えない不安に配慮します。